明るくカジュアルな葬式も?日本と大きく異なる海外の葬式事情

亡くなった人を弔うための葬式は、行う場所によってその雰囲気や習慣に大きな違いがあります。
日本と比較するだけでも、異なる部分が多く見つかる海外の葬式事情を、見ていきましょう。

目次

海外の葬式は日本と異なる点が多い

葬式は、故人の宗教によって方式が異なってきます。

さらに、その土地や地域の習慣などによっても、雰囲気がガラリと違うことも珍しくありません。

宗教による違いが大きい

葬式でどのようなことを行うかは、宗教による違いがかなり大きいものです。

日本だけを例にしても、多くの場合は仏式で葬式を行うことが多いですが、神道の方式で行う「神式」、キリスト教徒が行なう「キリスト教式」なども行われています。

日本ではあまり宗教にこだわらない人も多いことから、宗教にとらわれない「無宗教式」を選択する人もいます。

世界に目を向けると、宗教はさらに多様性が広がるので、その分葬式のタイプも増えてきます。仏教と並ぶ世界三大宗教であるキリスト教、イスラム教は、それぞれ葬式の習慣も大きく異なります。

各国または地方独自の文化や習慣を反映

宗教の違いは葬式の方式に大きく関わりますが、同じ宗教の国でも同じ葬式を行うとは限りません。葬式は、昔から亡くなった人を弔うために行われてきた儀式です。その国や地方、土地に古くから伝わる文化や習慣が強く影響されることも多く、独自の葬式が行われることもあります。

例として、ヒンドゥー教徒が多いインドでは、北部を流れるガンジス川そのものが神格化されており、火葬した遺灰をガンジス川に流すことが多いといわれています。聖なる川に遺灰を流すことで悟りを開き、輪廻転生を繰り返しす苦しみから開放される、と考えられています。

明るく故人を見送ることも珍しくない

日本では、亡くなった人を偲ぶ葬式の場は悲しく重苦しい雰囲気であることが多く、明るく振る舞うのは場違いと思われてしまうことが多いでしょう。しかし、キリスト教式では死後は神様の元で暮らせると考えることがあるため、葬式は明るく、あえて前向きに行うことも珍しくないのです。

海外の葬式に参列する際の服装は?

葬儀に参列する女性

葬式の場で着る服といえば喪服ですが、海外で行われる葬式に参列する場合はどのような服装が適しているのでしょうか。日本ほどフォーマルさが求められないケースも多く見られますが、その場にふさわしい服装を選びましょう。

正装である着物は控えよう

日本では、着物は正装の一つです。そのため、日本で行う葬式に出席するときは、着物を着ることがありますが、着物を着られるのは一般的に3親等までの故人の親族に限られます。その理由は、喪主や遺族、故人の親族より会葬者の格式が上になることを避けるためです。

海外での葬式は、日本ほど厳格な服装マナーがないことも多くありますが、身内の葬式ではない限り、海外でも着物は避けた方が無難といえます。

必ずしも黒い服が必要とは限らない

日本では葬式で着る服は、肌の露出が少ない黒のスーツやワンピースで、それ以外の色や洋服のタイプは避けるのが基本です。また、動物の殺生を連想させる毛皮のコートや小物、ひと目で動物の革とわかるような革製品を身につけることもマナー違反とされています。

このように、マナーが厳格な日本の葬式に対し、海外では身内や葬儀屋以外であれば、黒以外の色の服を選んでも問題がないといいます。明るめの色が入っていても、その場にふさわしい洋服であれば構わないという点が、日本と大きく異なります。

普段着で参列できる場合もある

マナーが特に定められていないこともある海外での葬式では、普段着で参列できることもあります。あまり派手すぎない服であればOKと考える国も多く、アメリカなどでは、ジーンズなどのカジュアルスタイルで参列できることもあるようです。

その他にも、国によってNGとされている色やマナーもあるので、葬式に参列するときはその国のマナーを知っておくことが重要です。

海外の葬式で身につけられるもの

喪服の男性

葬式では、アクセサリーなどを身につけることもありますが、その他にも身につけられるアイテムがいくつかあります。海外ドラマや映画などで見かけることもある参列者が身につける帽子やサングラスは、実際の海外の葬式で身につけられるのでしょうか。

女性は「トークハット」を着用することも

女性皇族の方々が公式の場に出るときや、海外の結婚式などで女性がかぶる小さめの帽子を、「トークハット」といいます。頭の上にのせて身につけるつばなしの帽子のことですが、遺族として葬式に参列するときは、トークハットを着用することがあります。逆に言えば、会葬者が着用するものではない、ということになります。

また、ドラマや映画などで海外の葬式のシーンにおいて、トークハットにベールを組み合わせている姿を見たことがある人も多いのではないでしょうか。こちらは、カトリック信者のみ着用するものです。同じキリスト教徒でも、プロテスタントの場合はベールを着用せずに参列します。

場合によってはサングラスの着用もOK

日本では基本的にマナー違反とされているサングラスですが、海外での葬式では、サングラスを着用している人を見かけることがあります。これは、海外では日本よりも日光や紫外線が強く、しかも瞳の色素が薄い人も多いため、日光を直接目に浴びると眩しく、目へのダメージも大きくなることが理由です。

日本で行われる葬式でサングラスをかけることは避けるべきですが、目の疾患を持っている場合は、この限りではありません。

海外での葬式で花を送るべき?

葬儀のお花

花を葬式に送ることは、日本でもよく行われています。同じように、海外での葬式に花を送っていいものなのでしょうか。

故人に花を送るのは古くからの習慣

亡くなった人へ花を送るのは、日本でもよく行われています。海外でも同様に、花を送る習慣がある国が多く見られます。歴史的に見ても、旧人類であるネアンデルタール人が死者を丁重に葬り花を手向けていたことを示す遺跡が発見されていたほど、人間は古くから亡くなった人へ花を送る習慣があったといわれています。

宗教に関係なく、海外の葬式においても故人を供養するために花を送ることができます。しかし、ユダヤ教やイスラム教のように、花を送る習慣を持たない宗教もあるので、花を送る際は故人の宗教にも注意する必要があります。

送る花の種類も、宗教による違いがあります。仏式の場合は菊がよく見られますが、キリスト教式ではユリやカーネーションが多く用いられます。この2種類は仏式でも供えられる花でもあるので、葬式で送る花として無難な選択肢となるでしょう。

日本から海外へお悔やみの花を送れる

海外にいる身内や知人、友人が亡くなり葬式が行われる場合、なかなか渡航できないということもあるでしょう。そんなときは、日本から花を送る方法があります。

一部の日本国内の花屋では、海外へお悔やみの花を送れるサービスを実施しています。葬儀場、または自宅向けのお悔やみの花を選べ、配達指定もできるので、花でお悔やみの気持ちを伝えることができます。

日本は世界一?葬儀にかかる費用

ハワイの風景

葬式をあげるには、とにかくお金がかかる印象がないでしょうか。実際、日本の葬儀費用は世界一といわれるほど高額です。では、他の国ではどの程度の費用をかけているのでしょうか。

日本の平均葬儀費用は約200万円

日本の葬式は比較的豪華に行うケースが多く、葬儀屋や食事を用意する飲食店などにかかる人件費が多くなりやすい傾向があります。また、仏式で葬式を行うことが多いため、読経を依頼する僧侶に渡すお布施や戒名料にもお金がかかるのも、他国にはない特徴です。

これらの費用の総額を葬儀費用とすると、平均額は約200万円といわれています。
葬式は地域によっても習慣が異なり、参列者の数や葬式の規模で費用も変わってきます。最高で800万円ほどかかった葬式もあるそうで、日本の葬式はお金がかかる場合が多く、世界で一番高い、といわれるほどです。

多くの国での葬儀費用は100万円前後

何かと出費が多い日本の葬式に対し、海外での葬式にかかる費用はそこまでお金をかけないケースが多いようです。

例えば、イギリスでの葬儀費用の平均は約70万円ですが、規模を小さくしてごく親しい人のみで行う場合は、さらに費用が安いこともあります。アメリカでは葬儀費用の平均は約40万円です。近年は火葬を選択する人も増えていますが、土葬が一般的です。土葬の場合、埋葬にかかるコストが高くなるため、100万円前後かかるといわれます。

いずれの場合も、日本の平均葬儀費用の半分程度なので、やはり日本で葬式をするためにかかるお金は世界的に見ても高いといえるでしょう。

土葬・火葬の違いが葬儀費用に影響することも

日本では火葬が一般的ですが、海外では火葬の方が少数派という国も多くあります。キリスト教では死者の復活が信じられていることから、遺体を燃やすと復活ができないと考えられています。そのため、キリスト教徒が多い欧米の国では、土葬の割合の方が多い傾向があります。

しかし、近年は埋葬するスペースの不足や葬儀費用の高騰などにより、海外でもお墓を持たない選択をして火葬・散骨をする人も増えています。

土葬の場合は、埋葬前に「エンバーミング」という遺体を保存するための処置を行うことがほとんどですが、この処置にかかるお金が葬儀費用が上がる一因になっています。また、火葬なら棺を用意する必要なく埋葬できるので、土葬と火葬の選択次第で葬儀費用が大きく異なることもあります。

まとめ

人生を終えた人を悼み、故人の冥福を祈る場である葬式は、国や宗教、文化の違いによって内容もかかる費用も大きく異なります。日本での葬式とは違う点も多く、各国で葬式に出席することは、その土地のことをよく知ることにもつながるといえるでしょう。

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