海外で散骨をするためにかかる費用とその内訳、海外での散骨事情
海外で散骨をするには、通常のお墓への埋葬とは異なる費用がかかります。
故人の希望に沿った海外での散骨を実施するためには、費用や現地でのルールを知っておくとスムーズに進行しやすくなります。
散骨の基本的な知識を知ろう
遺骨をどのように埋葬するか、その方法は多様化しています。では、葬送方法の一つである散骨とはどのような方法なのか、基本を知っておきましょう。
散骨とはどのような葬送方法か
日本では、古くから亡くなった人はお墓に埋葬するのが一般的です。しかし、近年は葬儀や埋葬方法の多様化が進み、埋葬以外の葬送方法を行う人が増えています。その中でも代表的な方法が、散骨です。
散骨とは文字通り、遺骨を海や山、川などに撒き、自然に還すという方法です。思い入れの深い場所や好きな場所に還ることができることから、最も自然な葬送方法ともいわれています。
海外での散骨もできる
散骨は、必ずしも日本国内のみで行うものではありません。海外へ遺骨を運び、故人や家族が希望する国で散骨できるケースもあります。
お墓のように購入費用や許可が必要ない場合が多いので、生前よく訪れていた海外の思い出の土地に還りたい、という希望も、散骨ならお墓を建てるよりも実現しやすいのです。
遺骨引取から散骨までトータルで依頼できる
海外の一部の国では、散骨を専門とする業者があります。海へ散骨を行う「海洋散骨」がメインとなりますが、日本での遺骨引取から現地での散骨の実施、さらにその際に必要な船などの交通手段の手配などもまとめて依頼できるメリットがあります。
日本人が対応する業者であれば、言葉の問題なくスムーズに散骨を進められるでしょう。
海外で散骨をする方法は?
日本人でも海外で散骨ができる場合がありますが、それぞれの国によって散骨事情や法律、ルールが異なる点に注意が必要です。
散骨が多く行われている欧米やオセアニア
日本と異なり、海外では火葬より土葬が一般的な国が多いと言われていましたが、近年では海外でも埋葬方法の多様化により、火葬を行うケースが増えています。そして、火葬して遺された遺骨は、さまざまな場所で散骨されています。
ヨーロッパでは、散骨可能な場所が定められており、川への散骨が多い傾向があり、日本国内ではアルプスの最高峰であるモンブランへの散骨サービスの提供実績を持つ企業もあります。
アメリカでも海へ遺骨を撒く海洋散骨のほか、宇宙への散骨を行ったケースもあるのは、世界で最も宇宙開発が進んでいる国ならではといえます。
美しい海に囲まれたオーストラリアやパラオなどのオセアニア地域でも、海洋散骨が可能です。中でも、世界遺産に登録されているオーストラリアの「グレートバリアリーフ」でも、自然葬として海洋散骨ができます。
国や地域により散骨ルールが異なる点に注意
散骨について特に規制する条項がない国も多く、特別な許可が必要ありません。しかし、自由にどこで散骨をしてもいいわけではありません。国の法律では規制されていないものの、州ごとに異なる法律により、同じ国でも散骨にかかわる制限も異なってきます。
例として、日本人が散骨に訪れることも多いハワイでは、州の法律により陸地から3マイル以上離れた場所で行わなければならないとされています。
その他にも、同じ国でも州や地域によっては散骨そのものが禁止されていることもあるので、散骨ルールを前もって確認しておきましょう。
海外での散骨にはどの程度の費用がかかるか
お墓を建てるよりも費用がかからないことも珍しくない散骨ですが、海外で行う場合は、お墓への埋葬とはまったく異なる費用がかかってきます。
現地へ行く場合は渡航費用が高くつく
散骨のために海外へ行く際、必ずかかるのが渡航費用です。渡航費用はどうしても高くつくので、現地へ行く人数が増えれば増えるほど、かさんでしまいます。もちろん、滞在日数分の滞在費用も別途必要です。
さらに散骨業者に依頼をする場合は、手配にかかる費用もかかります。個人で散骨を行う場合でも、船をチャーターする必要が出てくる場合はその費用も上乗せされます。
散骨方法によって費用も変動
海洋散骨の場合、船で沖に出て行う必要が出てくるため、船の利用方法によって費用が変動します。家族や親族のみで船に乗る場合は貸し切りでの「個別散骨」となるため最も費用が高くつき、乗船人数にもよりますが費用の相場は20万円ほどです。その他、現地までの交通費なども別途かかります。
貸し切りより費用を抑える方法として、「合同散骨」もあります。他の家族と同じ船に乗るため、個別散骨より料金を安く済ませられるのがメリットです。合同散骨でかかる費用は、およそ10万円前後が相場です。
散骨をしたいけれど海外は渡航費用がかかりすぎて厳しい、という場合は、散骨そのものを業者におまかせする「委託散骨」という選択肢もあります。現地へ行く必要なく、遺骨引き取りから散骨まで、業者が代わりに行います。
海外へ行く時間や金銭的余裕がない、長時間の移動が難しいという人にとっては、最も安い費用で日本にいながらにして海外で散骨ができる方法となります。2万5000円ほどからできるところもあるほど委託散骨は費用も安めで、相場は5万円ほどを見ておいた方がいいでしょう。
まとめ
海外での散骨はお墓を建てるよりも実施できる場所の自由度が高く、海外を含め故人の要望に沿った場所で行えるのが最大の特徴です。故人の生前の希望を叶えやすい半面、異なる費用がかかってきます。
海外散骨を希望する場合は、現地での散骨ルールやかかる費用を事前にチェックしておくことをおすすめします。